【 Tone 1.滋賀 にほの海 】phrase 2 長命寺の磐座 ~ This muddy vesture of decay(この朽ちゆく泥の衣)~
- Aureilia

- 5月10日
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更新日:6月20日
【 Phrase.2 長命寺の磐座 】
長命寺——その名の通り、健康長寿・無病息災のご利益があることで有名な古刹には、初夏の熱気も鎮まるような苔むした石段がそびえていた。
第12代景行天皇の御代、武内宿禰(たけのうちのすくね)がこの地で長寿を祈ったのが始まりとされている。頂上付近には今も原始祭祀の面影を留める磐座(いわくら)がある。

古代、長命寺が位置する姨綺耶山(いきやさん)は、琵琶湖に浮かぶ「島」(あるいは湿地帯に孤立した半島)であった。船でしか近づけない特別な聖域であり、湖上の島は、古代人にとって「蓬莱山」のような不老不死の地、常世(とこよ)と重ねられていた。その後、聖徳太子がこの地を訪れた際、柳の木に「寿命を延ばしたいならここを祈れ」という不思議な文字を見つけ、千手観音を刻んで開基したという伝説が残る。
境内には室町時代から桃山時代にかけて再建された本堂、三重塔、鐘楼(いずれも重要文化財)が立ち並び、琵琶湖を一望できる絶景スポットとして知られている。
登り始めて30分。重い機材バッグをものともせず軽やかに登る櫂は、時折スナップを撮りながら、周回遅れの佳帆を振り返った。
「社長。へばってんじゃねぇか?」



