【 Tone 1.滋賀 にほの海 】Phrase.11 竹生島の舟廊下 ~ This muddy vesture of decay(この朽ちゆく泥の衣)~
- Aureilia

- 7月12日
- 読了時間: 27分
更新日:7月23日
「小堀遠州は、庭やインテリアまで設計したアートディレクターで、大徳寺孤篷庵(こほうあん)の茶室『忘筌(ぼうせん)』は、御座船(ござぶね)から眺める景色だってあんた言ってたよな」
「そう…。でも、これは、さすが天下人の船って感じね…。侘び寂びの対極にある美やわ」

2人は、宝厳寺の観音堂と都久夫須麻神社を結ぶ国指定重要文化財、「渡廊(通称:舟廊下)」を歩いていた。豊臣秀吉の御座船(ござぶね)「日本丸」の船櫓(ふなやぐら)の骨組みを天井に再利用しているため、船底を見上げたような「舟天井」になっている。廊下の両側の壁(縁)には、「連子窓(れんじまど)」と呼ばれる細い格子をはめ込んだ窓がずらりと並び、射し込む光が細い干渉縞となって、琵琶湖から吹く風に踊っていた。

「京都の千本格子も同じやけど、細桟(ほそさん)の角度を斜めに配置するのね。ちょっとした木の配置で、目隠しにもなるし、風は通す。こういう建築のディティールが、一つひとつ手が込んでる」
「あぁ。竹生島自体を船に見立てた、お洒落な配置だな。琵琶湖が一望できる。それに、垂木(たるき)にまで黒漆に金メッキがしてあるな」
「え? あ、ほんまや…。櫂さん、実はね、金メッキの製法を伝えたのも、フェニキア人なの」
「マジかよ? …あ、確かに、ソロモン王の神殿を建てるために、フェニキアのヒラム王は石工『ヒラム』をイスラエルに送り込んだんだったな」



