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【 Tone 1.滋賀 にほの海 】Phrase.12 竹生島の神の門 ~ This muddy vesture of decay(この朽ちゆく泥の衣)~

更新日:7月23日

 



「あ~、楽しかった! かわらけ投げやなんて、子供の頃以来やわ! 櫂さん、オリンピック選手くらい飛ばすんやもん、びっくりしたわ」

「あぁ、社長こそ。結構飛距離あったじゃねぇか…、あれ?」

「どしたの?」

岩肌を撮ろうと、愛機の『SIGMA sd Quattro H』の電源スイッチを入れた櫂の動きが、ピタリと止まる。

背面液晶のバッテリー残量表示が赤く点滅していた。

「……フル充電して、桟橋で数枚撮っただけなのに、もう0かよ。今日は嫌に減りが早いな」

櫂が予備バッテリーに交換している間に、佳帆は竹生島の観光案内パンフレットで縁起を読んでいた。

「へぇ、櫂さん、この場所が『仁王崎(におうざき)』って言うんは、東大寺を建てた僧・行基が、724年に聖武天皇の命を受けて仏教の守護神・仁王(四天王)をお祀りしたという伝説があるからなんやって。ある時聖武天皇の夢枕に天照皇大御神(あまてらすおおみかみ)が立たれて、『琵琶湖に金泥(こんでい)に染まった清らかな島がある。そこは弁才天の聖地であるから、堂宇を建てて祀るべし』と告げられた…。行基は竹生島に渡って、自ら弁才天を彫ったとされてる。724年って言ったら、聖武天皇が24歳で即位された年やわ…。現代の港ができるまで、この周辺は島に上陸するための玄関口やったらしい。こんな岩場に、どうやって船を着けたんやろ…?」

キョロキョロと辺りを見回す佳帆を見やり、櫂が答える。


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