【 Tone 1.滋賀 にほの海 】Phrase.13 竹生島とベスビオ山 ~ This muddy vesture of decay(この朽ちゆく泥の衣)~
- Aureilia

- 8月10日
- 読了時間: 12分
更新日:8月22日
ミヤケ・イベント。
地球へ飛来した宇宙線が急増し、樹木の年輪に放射性炭素(炭素14)の急激な濃度増加として記録された、超巨大な太陽嵐(太陽フレア)の現象のことである。
2012年に、当時名古屋大学の宇宙地球環境研究所に所属していた三宅芙沙(みやけ ふさ)氏らの研究チームが、西暦774~775年の日本の杉の年輪で、炭素14濃度が急激に増加していることを発見したことに因んでいる。
774年は、現代の観測史上最大の太陽嵐(1859年のキャリントン・イベントなど)をはるかに上回る、人類の歴史上最大級の太陽気象災害が地球を襲った年である。もし同レベルのミヤケ・イベントが現代に直撃した場合、人工衛星の故障、大規模停電、無線通信の長期マヒなどが懸念されている。
2人は、竹生島の宝厳寺の奥にある鐘楼へ進みながら、話し込んでいた。
「聖武天皇や空海の時代と同じ天災が、現代に起こってる…? 確かに、数百年に一度のレベルの世界的パンデミック、千年に一度といわれた東日本大震災、御嶽山や口永良部島(くちのえらぶじま)の噴火が続いてるタイムラインは、1000年前と似てるわね」
「あぁ、特にコロナは、こんなに医療が進んでても、高齢者の致死率は天平時代と同じだったんだろ? 日本だけじゃなく世界的にも、ここ数十年で巨大地震や噴火が続いてるよな。平成の米騒動の原因になった1991年のフィリピン・ピナツボ火山の噴火や、世界中の航空機が止まった2010年のアイスランド・エイヤフィヤトラヨークトル噴火。2004年のスマトラ沖地震・インド洋大津波なんかは、衝撃的過ぎてまだ映像を脳内再生できるくらいだ。…1000年前と違うのは、飛行機が発達して人の長距離移動が増えたこと。それに、日本だけでも、500万人だった人口が、1億2千万人に膨れ上がってるってことだ…」
「そんな中で、もし1000年前と同じ状況になったら…」
「被害は150万人じゃすまねぇぞ」
その数字に息を呑んだ佳帆が、震える声で続ける。
「…東日本大震災は、貞観(じょうがん)地震とほぼ同じ震源域で起きてるの……」



