【 Tone 1.滋賀 にほの海 】phrase1 名神高速の翠風 ~ This muddy vesture of decay(この朽ちゆく泥の衣)~
- Aureilia

- 5月8日
- 読了時間: 12分
更新日:6月20日
2021年6月21日 夏至
樹々の縁が眩しい初夏の午後。
京都市左京区岡崎にある星舟舎のオフィスを出発し、名神高速を東へひた走るドライブコース。星野 櫂 は、フォギー・ブルーパール・メタリックのスズキ「ラパン」を滑らせた。
爽やかな光が射し込む車内には、初対面の東寺で吹き荒れた緊張感を孕むブリザードとは打って変わって、どこか気の置けない緩やかな空気が流れていた。
愛車の運転席を櫂に譲り助手席に座る 藤川 佳帆 は、窮屈そうに身を投げ出してハンドルを握る彼の横顔と、ダッシュボードに固定された真新しい巨大なスマートフォンを交互に見て、ふふっと笑いを零した。
「……何がおかしいんだよ、社長」



